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「むごい現場を見とるけん…」78回目の広島原爆の日 “語り部2世”が世界情勢の変化に警鐘【香川】

2023.08.07

「むごい現場を見とるけん…」78回目の広島原爆の日 “語り部2世”が世界情勢の変化に警鐘【香川】

広島市に原子爆弾が投下されて2023年8月6日で78年となりました。香川県多度津町では、被爆体験の「語り部2世」が4年ぶりに講演し、世界情勢の変化に警鐘を鳴らしました。

(「語り部2世」入江紀文さん)
「だんだん近づいてきたら衣服は引き裂け、皮膚は垂れ下がり、声も出せず黙々と郊外に逃げていた。(その姿は)おばけ幽霊とそっくりだった。1人や2人ではなく、みんなそうだった」

多度津町の元教員、入江紀文さん(74)。約50人の前で力強く語るのは、1945年8月6日に広島市で被爆した妻の母親、松村ハル子さん(98)の体験です。被爆者が高齢化し少なくなる中、母親の壮絶な体験を後世に伝えるべきだとして、10年ほど前から講演を続けています。今回はコロナ禍での中止を経て4年ぶりの開催ですが、この間に世界は大きく変わりました。

ロシアがウクライナに侵攻し、核による威嚇を続けています。これを受け2023年5月のG7広島サミットでは核軍縮の声明が出された一方、抑止力として核兵器を肯定しました。

核廃絶を訴えてきた被爆者は納得していません。

(入江紀文さん)
「核は持っていることで平和が保たれているからやむを得ないと、広島ビジョンで世界に発信してしまった。原爆の被害者のグループは怒っている」

世界情勢の変化に伴い被爆地、広島に光が当たる中、講演会では様々な世代が熱心に耳を傾けました。

(参加した人は…)
「こんなむごいことが行われていたと身に染みて、今晩は寝られないくらいの衝撃」
「もし第三次世界大戦をやったら確実に世界中の人が広島の原爆の人(と同じ)になるので第三次は絶対にやってはいけない」

そして今「語り部2世」として願うこと。それは母親の発言として紹介し、会場に静かに響いたこの言葉の中にありました。

(入江紀文さん)
「むごい現場を見とるけん。(自分の時間が)あと少なくなってきたから、原爆のことを話しておくのは、あんなひどいことを繰り返してほしくないから。ずっと戦後でないといけない。戦争は絶対にやったらいけない」