2025.01.15
「年収の壁」見直しで注目される3つの“壁” 最善の選択をするには…専門家に判断材料のポイントを聞く
今、関心の高い話題を詳しく解説する「急上昇ニュース」。1月15日と22日は、いわゆる「年収の壁」について、見直しが行われると私たちの暮らしはどう変わるのか、おかやま中小企業支援実務家協議会で、みらいエール社会保険労務士法人の國田真由美さんと考えます。
OHKでは年末年始、アプリで「年収の壁」についてのアンケートを行いました。その中で最も多かった声は、「「年収の壁」見直しで、自分の手取り収入は増えるのか?減るのか?気になる」という声でした。
Q:どんなところに気を付けたらいいと考えていますか?
(みらいエール社会保険労務士法人 國田真由美さん)
「「年収の壁」についてまず細かく見ていくと、実は3種類ある。
■一定の収入を超えると税金がかかる「税金の壁」
■一定の収入を超えると厚生年金や健康保険料の支払いが発生する「社会保険料の壁」
■一定の収入を超えると、配偶者に会社から支払われる手当てがなくなる「配偶者手当の壁」
です。この中で、「配偶者手当の壁」を最初に確認してほしい」
Q:「配偶者手当」は企業ごとの制度ですよね?
「企業によって金額や要件が様々なので調べる必要。壁を超えて働きたいと思っても、世帯全体の収入が目に見えて減る場合もあるので、「働き控え」につながる可能性がある。確認する方法としては、配偶者の会社の給与明細を確認。配偶者手当などという名称で支給がなければ、配偶者手当に関する壁はない、ということに。手当が支給されている場合は、配偶者の方を通じて手当てに関する支給要件を会社へ聞いてもらうほか、就業規則の手当支給の規定を読み直してもらう、などのアクションを起こしてほしい」
Q:アクションを起こすとどんなことがわかる?
「手当てが支給されなくなる“壁の金額”は、「103万円」「130万円」など企業によって違う。配偶者に手厚い、子どもに手厚いなど、企業ごとの価値観で金額が違う。企業からの相談の中での感覚だが、一般的に配偶者手当は見直しされる方向。大企業でも配偶者手当の廃止や、減額をしている。その上で、その金額を失っても、多く働いた方がいいと思うかどうか。考える必要がある」
Q:判断材料のポイントは?
「壁の種類としてはあるけれども、場合によって該当しないケースや壁として該当するケースでも、自分の価値観によっては気にしなくて良い壁、となるかもしれないから。そもそも壁として考慮しなくて良いことに対して、モヤモヤとしながら働くことがないようにしてもらいたい。
また、反対に、自分にとって大きな重要な壁として確実なものとなる方には、この壁を守ってもらいたい、自分の価値とのすり合わせがポイントです」
Q:その上で、次に見ていくのは?
「真ん中の「社会保険の壁」。この社会保険の壁には「106万円」「130万円」の2つの壁がある。同じ社会保険に関する壁としてでも、大きく視点が異なる。
106万円は「自分が勤め先で社会保険に加入する条件を満たすかどうか」、
130万円は、「家族の社会保険の被扶養者としての条件を満たすかどうか」。
このうち「106万の壁」は動きがあり、2025年の10月から撤廃が決定。①の企業規模も2026年10月に撤廃の見通しで、最終的に③の「週20時間以上働くと社会保険加入」だけと分かりやすい要件になっていく予定。
130万円の壁については変更されていない。
Q:厚生年金に入る人が増えそう…
「年金受給者も含めて幅広い層を対象に、約200万人が新たに社会保険に加入する見込みと言われている」
Q:その人たちは手取りが減るということ?
「社会保険に加入すると社会保険料の負担は約15%。例えば月に9万8000円の給与支給の人は、健康保険と厚生年金保険料を合わせて1万5000円差し引かれて、手取りが8万3000円になる」
Q:その場合、メリットはある?
「保険に加入すれば、将来の年金が増える。また保険制度の給付の仕組みにより、働く中でアクシデントが起きた時の備えにもなる。また保険料負担は、労働者だけではなく企業も同額を負担してくれることで、年金額や給付額アップ、という恩恵もある。
一方で、雇用する企業にとっては新たな社会保険の適用拡大により、人件費負担増の影響の可能性もある。とはいえ、人手不足対策や女性活躍推進、柔軟な働き方のメニュー提供などにも直結する「年収の壁」について理解を進めて早めに対応を考えておいてもらいたい」
Q:パートやアルバイトで働く人がこれから考えることは?
■自分だけでなく世帯としての働く環境は?
■自分のライフイベントの予定は?
■自分がどのようなキャリアプランを描いているのか?
自分が何に一番価値を置いているのかを知って、その優先順位で「働く自分」を設計してもらいたい。設計に影響してくる「年収の壁」の意味も理解して、最善の選択を!
1月22日は、残る一つ「税金の壁」について。「103万円の壁」を引き上げる議論が進んでいますが、その背景や、私たちが備えるべきことを専門家に聞きます。

Q:どんなところに気を付けたらいいと考えていますか?
(みらいエール社会保険労務士法人 國田真由美さん)
「「年収の壁」についてまず細かく見ていくと、実は3種類ある。

■一定の収入を超えると厚生年金や健康保険料の支払いが発生する「社会保険料の壁」
■一定の収入を超えると、配偶者に会社から支払われる手当てがなくなる「配偶者手当の壁」
です。この中で、「配偶者手当の壁」を最初に確認してほしい」
Q:「配偶者手当」は企業ごとの制度ですよね?
「企業によって金額や要件が様々なので調べる必要。壁を超えて働きたいと思っても、世帯全体の収入が目に見えて減る場合もあるので、「働き控え」につながる可能性がある。確認する方法としては、配偶者の会社の給与明細を確認。配偶者手当などという名称で支給がなければ、配偶者手当に関する壁はない、ということに。手当が支給されている場合は、配偶者の方を通じて手当てに関する支給要件を会社へ聞いてもらうほか、就業規則の手当支給の規定を読み直してもらう、などのアクションを起こしてほしい」

「手当てが支給されなくなる“壁の金額”は、「103万円」「130万円」など企業によって違う。配偶者に手厚い、子どもに手厚いなど、企業ごとの価値観で金額が違う。企業からの相談の中での感覚だが、一般的に配偶者手当は見直しされる方向。大企業でも配偶者手当の廃止や、減額をしている。その上で、その金額を失っても、多く働いた方がいいと思うかどうか。考える必要がある」
Q:判断材料のポイントは?
「壁の種類としてはあるけれども、場合によって該当しないケースや壁として該当するケースでも、自分の価値観によっては気にしなくて良い壁、となるかもしれないから。そもそも壁として考慮しなくて良いことに対して、モヤモヤとしながら働くことがないようにしてもらいたい。
また、反対に、自分にとって大きな重要な壁として確実なものとなる方には、この壁を守ってもらいたい、自分の価値とのすり合わせがポイントです」
Q:その上で、次に見ていくのは?
「真ん中の「社会保険の壁」。この社会保険の壁には「106万円」「130万円」の2つの壁がある。同じ社会保険に関する壁としてでも、大きく視点が異なる。
106万円は「自分が勤め先で社会保険に加入する条件を満たすかどうか」、
130万円は、「家族の社会保険の被扶養者としての条件を満たすかどうか」。

130万円の壁については変更されていない。
Q:厚生年金に入る人が増えそう…
「年金受給者も含めて幅広い層を対象に、約200万人が新たに社会保険に加入する見込みと言われている」
Q:その人たちは手取りが減るということ?
「社会保険に加入すると社会保険料の負担は約15%。例えば月に9万8000円の給与支給の人は、健康保険と厚生年金保険料を合わせて1万5000円差し引かれて、手取りが8万3000円になる」

「保険に加入すれば、将来の年金が増える。また保険制度の給付の仕組みにより、働く中でアクシデントが起きた時の備えにもなる。また保険料負担は、労働者だけではなく企業も同額を負担してくれることで、年金額や給付額アップ、という恩恵もある。
一方で、雇用する企業にとっては新たな社会保険の適用拡大により、人件費負担増の影響の可能性もある。とはいえ、人手不足対策や女性活躍推進、柔軟な働き方のメニュー提供などにも直結する「年収の壁」について理解を進めて早めに対応を考えておいてもらいたい」
Q:パートやアルバイトで働く人がこれから考えることは?
■自分だけでなく世帯としての働く環境は?
■自分のライフイベントの予定は?
■自分がどのようなキャリアプランを描いているのか?
自分が何に一番価値を置いているのかを知って、その優先順位で「働く自分」を設計してもらいたい。設計に影響してくる「年収の壁」の意味も理解して、最善の選択を!
1月22日は、残る一つ「税金の壁」について。「103万円の壁」を引き上げる議論が進んでいますが、その背景や、私たちが備えるべきことを専門家に聞きます。