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授業中に突然質問しないで…難聴の子供たちに学校で必要な配慮とは 医師が冊子を作成【岡山】

2021.09.15

授業中に突然質問しないで…難聴の子供たちに学校で必要な配慮とは 医師が冊子を作成【岡山】

音や声が聞き取りにくい難聴の子供たちに対し、学校で必要な配慮を知ってもらおうと、2021年の春、ある冊子が出来ました。

作ったのは、岡山市の岡山大学病院に勤める耳鼻科の医師。冊子に込めた思いとは。

(岡山大学病院耳鼻咽喉科 片岡祐子医師)
「後ろから横からというのも聞きにくいし、例えば、学校の先生が、黒板に書きながらしゃべっている内容もかなり聞きにくかったりする。黒板に書き終えて、向きを変えて正面を見て、子供たちを見てしゃべるほうが聞きやすいと書いてある」
難聴冊子02
音や声が聞きとりにくい難聴の子供たちに、学校でどんな配慮が必要なのかを紹介した冊子です。
難聴冊子03
岡山市の岡山大学病院の医師、片岡祐子さんがまとめました。
難聴冊子06
医学の進歩で、生まれてすぐに聴覚の障害が分かるようになりました。
 
早い段階で聞き取りを助ける機器などを使うことで、難聴の子供たちでも、健常者と会話ができるようになり、地域の学校に通うケースが増えています。
難聴冊子09
岡山市内の小学校に通う鈴木亮丞君(12)もその1人です。
 
(片岡医師と鈴木君のやりとり)
「学校の先生にこれ知ってほしいことはある?」
「たまに授業が聞こえない。でもみんながどんどん進んでいるから、手をあげて伝えることができない」
難聴冊子13
「周りの様子を読むこともすごく大事だけど、なんとか先生にサインをするとか、聞き取れていないことが分かるものを作ったらいいかもね」
 
片岡さんは、通院の際、学校の様子なども気にかけます。

(片岡祐子医師)
「医療も限界がある。それを補っていくのが福祉、支えていくのが教育、それぞれの役割がある。それなら医療と福祉と教育をつなげていくという役割も重要かなと思って」
難聴冊子16
2年前、片岡さんは、難聴の子供たちが、どんなことに困っているかを知るため、アンケートを実施しました。
難聴冊子16-1
協力してくれたのは、約120人の患者たちです。
 
(片岡祐子医師)
「印象深かったのは、突然(先生が)質問してくるのはどうかと思う。授業中に。」
難聴冊子18
 
(片岡祐子医師)
「授業中の突然の質問って普通じゃないですか、普通の事だと思うけど、難聴児にとっては、どう思いますか?何とかさんとあてられる。それが苦痛。最初になんとかさんと当てられていたら、少しはそのつもりで聞けたかもしれないと書いた人も」
難聴冊子19
授業で順番に1人ずつ音読する時、どこを読んでいるのか分からないので、自分の順番と、読む場所を数えて待つ…という内容もありました。
 
(片岡祐子医師)
「ちゃんと確実に先生に対しての情報提供をしていかないといけないと感じました」
 
冊子には、子供たちが勇気を出して上げたその声に、片岡さんのアドバイスが添えられています。
難聴冊子22
製本されたものとダウンロードされたもの、合わせて約5500部が、全国の学校や、難聴の子供たちが通う施設、病院などに配付されています。
難聴冊子23-2
(鈴木亮丞君)
「先生に気持ちが伝わって、それが本になって、みんなにも伝わるからとってもうれしい」
難聴冊子24
子供たちが、笑顔でいられるために必要なこと。それは、誰にでもできる、ちょっとした気遣いなのです。
難聴冊子27
難聴の子供たちがコミュニケーションや社会参加から取り残されないよう、岡山大学は、持続可能な開発目標SDGsの取り組みを続けていくということです。