2022.02.08
【手話が語る福祉】“音を体感”する漫画 雨粒をビーズで表現 電車の揺れを…大学生が制作【岡山】
手話が語る福祉のコーナーです。聴覚障害者に音を感じてもらおうという漫画作品を、倉敷市の大学生が制作しました。
聞こえない「音」を体感してもらうその漫画、どんな作品なのでしょうか。
新型コロナウイルスの特徴を説明する模型や、 子供の猫背対策について解説した展示物。 医療や福祉分野を専門にしたデザインを学ぶ大学生の卒業制作展で注目を集めていたのが、この漫画作品です。
(篠田吉央アナウンサー)
「こちらは女の子が朝起きた時の様子です。あっ。布団が飛び出してきました。勢いよく起きたことが伝わります」
勢いよく起きた時の「ガバッ」っという音を立体的な仕掛けで表現し、音を「見て」感じてもらいます。
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん(22))
「僕の好きな漫画を通して、娯楽という形で、特別な何かではなく、障害に関係なく、当たり前に楽しめるという形で何か提案できないかと今回作らせて頂いた」 倉敷市の川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科。
デザインと医療・福祉を融合した全国唯一のカリキュラムが特徴のこの学科では、病気に関する専門的な知識を分かりやすく説明する展示物を作るなど、日々、様々なデザインが生み出されています。 子供のころから絵を描くことが好きだった久冨亮さんもその1人で、これまでに学校の内外で様々な賞を受賞しています。 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「デザインはいたるところにあるが、病院や医療機関で、自分の絵を描くスキルが役立てていけるのにやりがいを感じました」 デザインで人の役に立ちたい…。
その思いを強くさせたのが、医療福祉デザイン学科で開発に取り組んでいる災害対応ピクトグラムでした。 火災現場で聴覚障害者を避難誘導した消防士の経験をきっかけに、案内用のマークを災害時の避難誘導に役立てようと、6年前から岡山市消防局と共同で開発しているもので、 久冨さんも開発に関わる中で、デザインを工夫することで、災害時以外にも聴覚障害者に情報を届けられたらと思うようになり、卒業制作として取り組むことを決めました。
約1年かけて作り上げた作品は、おっちょこちょいな女の子と聴覚に障害がある女の子の友情を描いたもので、 漫画では、一般的な文字による擬音を体感できる仕掛けになっています。 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「これは、ストーリーのスピード感を(コマを)めくることで表現したかったんです」
通常なら上から下に読み進めるだけですが、1つのページを3つに分け、それぞれめくることで慌ただしさを表現。
次のページでは、着替えのシャツのボタンをとめたり、カバンのファスナーを閉めたりする仕掛けで、朝の準備をイメージさせます。
また、電車に乗っているシーンでは、それぞれのコマを糸で吊り下げ、「ガタンゴトン」という車内の揺れを伝えます。
さらに、雨が降っている場面では、雨粒をビーズで表現したり、
CGと組み合わせたりすることで、雨足の強さを感じてもらいます。
自分なりに生み出した工夫が当事者に伝わるのか、検証するのも卒業制作の重要な要素です。
この日は、聴覚障害者団体に依頼し、生まれつき聴覚に障害がある女性に自分の漫画を読んでもらいました。
(朝起きるシーンでは…)
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「ビックリした~。(勢いよく起きているのが)わかりました。慌てた時は、みなさん同じではないですか?」 まずは上々の反応ですが、3分割したページでは。
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「実際に体験してもらいたかった順番は、どうだったんですか?」
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「上から順番に3枚をめくったあと、次のページを読んで欲しかった」
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「(読む)流れがわかっていたらよかった」 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「(読む順番を)誘導するという部分で、ご意見を聞いて直したい」 ストーリーのカギとなる鈴が付いたネコのキーホルダーは、実物を漫画の上に置いて、手に取ってもらいました。
(持つと鈴の音が鳴る)
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「(漫画で)リンリンと書いてあるが、実際には(鈴の音は)聞こえない。(持つと)響きは伝わる。」 (岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「聴覚障害の有無に関係なく、健常者と同じように、平等に生活できるデザインを苦労して作ってくれたことにとても感動した」 一生懸命メモをとる久冨さん。大きな学びになったようです。
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「実際に当事者の方に聞くことで、自分の中になかった視点に気付け、今後の自分の考え方にも影響してくる」
そして、開かれた卒業制作展。久冨さんの作品には、読む順番を表示するなど、聴覚障害者から受けたアドバイスが反映されていました。 卒業後は病院に就職するという久冨さん。大学時代に学んだ聴覚障害への理解を、医療の最前線で生かす日々はもうすぐそこです。
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「障害によって情報のバリアが存在することを深く知ったので、これから社会で活動していく中で、相手の立ち会場を理解しようとする姿勢を大事にして、病院という中で貢献し行けたらなと思っています」 (篠田吉央アナウンサー)
「気づきにくい情報のバリアは、たくさんあります」
聞こえない「音」を体感してもらうその漫画、どんな作品なのでしょうか。
新型コロナウイルスの特徴を説明する模型や、 子供の猫背対策について解説した展示物。 医療や福祉分野を専門にしたデザインを学ぶ大学生の卒業制作展で注目を集めていたのが、この漫画作品です。
(篠田吉央アナウンサー)
「こちらは女の子が朝起きた時の様子です。あっ。布団が飛び出してきました。勢いよく起きたことが伝わります」
「僕の好きな漫画を通して、娯楽という形で、特別な何かではなく、障害に関係なく、当たり前に楽しめるという形で何か提案できないかと今回作らせて頂いた」 倉敷市の川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科。
デザインと医療・福祉を融合した全国唯一のカリキュラムが特徴のこの学科では、病気に関する専門的な知識を分かりやすく説明する展示物を作るなど、日々、様々なデザインが生み出されています。 子供のころから絵を描くことが好きだった久冨亮さんもその1人で、これまでに学校の内外で様々な賞を受賞しています。 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「デザインはいたるところにあるが、病院や医療機関で、自分の絵を描くスキルが役立てていけるのにやりがいを感じました」 デザインで人の役に立ちたい…。
その思いを強くさせたのが、医療福祉デザイン学科で開発に取り組んでいる災害対応ピクトグラムでした。 火災現場で聴覚障害者を避難誘導した消防士の経験をきっかけに、案内用のマークを災害時の避難誘導に役立てようと、6年前から岡山市消防局と共同で開発しているもので、 久冨さんも開発に関わる中で、デザインを工夫することで、災害時以外にも聴覚障害者に情報を届けられたらと思うようになり、卒業制作として取り組むことを決めました。
約1年かけて作り上げた作品は、おっちょこちょいな女の子と聴覚に障害がある女の子の友情を描いたもので、 漫画では、一般的な文字による擬音を体感できる仕掛けになっています。 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「これは、ストーリーのスピード感を(コマを)めくることで表現したかったんです」
この日は、聴覚障害者団体に依頼し、生まれつき聴覚に障害がある女性に自分の漫画を読んでもらいました。
(朝起きるシーンでは…)
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「ビックリした~。(勢いよく起きているのが)わかりました。慌てた時は、みなさん同じではないですか?」 まずは上々の反応ですが、3分割したページでは。
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「実際に体験してもらいたかった順番は、どうだったんですか?」
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「上から順番に3枚をめくったあと、次のページを読んで欲しかった」
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「(読む)流れがわかっていたらよかった」 (川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「(読む順番を)誘導するという部分で、ご意見を聞いて直したい」 ストーリーのカギとなる鈴が付いたネコのキーホルダーは、実物を漫画の上に置いて、手に取ってもらいました。
(持つと鈴の音が鳴る)
(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「(漫画で)リンリンと書いてあるが、実際には(鈴の音は)聞こえない。(持つと)響きは伝わる。」 (岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「聴覚障害の有無に関係なく、健常者と同じように、平等に生活できるデザインを苦労して作ってくれたことにとても感動した」 一生懸命メモをとる久冨さん。大きな学びになったようです。
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「実際に当事者の方に聞くことで、自分の中になかった視点に気付け、今後の自分の考え方にも影響してくる」
そして、開かれた卒業制作展。久冨さんの作品には、読む順番を表示するなど、聴覚障害者から受けたアドバイスが反映されていました。 卒業後は病院に就職するという久冨さん。大学時代に学んだ聴覚障害への理解を、医療の最前線で生かす日々はもうすぐそこです。
(川崎医療福祉大学 医療福祉デザイン学科 久冨亮さん)
「障害によって情報のバリアが存在することを深く知ったので、これから社会で活動していく中で、相手の立ち会場を理解しようとする姿勢を大事にして、病院という中で貢献し行けたらなと思っています」 (篠田吉央アナウンサー)
「気づきにくい情報のバリアは、たくさんあります」