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老いることは素敵なこと…97歳の劇団看板俳優・おかじいの芝居に溢れた「亡き妻への愛」【岡山】

2023.06.08

老いることは素敵なこと…97歳の劇団看板俳優・おかじいの芝居に溢れた「亡き妻への愛」【岡山】

老いや死、認知症をテーマに演劇をする劇団「OiBokkeShi」の舞台が5月、岡山市で行われました。主演を務めたのは97歳の看板俳優の男性、集大成の舞台に臨みました。

5月27日、岡山市で上演されたのは、老いや認知症をテーマにした劇団の代表作「ポータブルトイレットシアター」。主演をつとめたのは97歳の看板俳優、岡田忠雄さんです。

【天プラ・ホールセレクション ポータブルトイレットシアター】

岡田さん扮する岡谷が、認知症の妻との意思疎通ができなくなり、悩みながらも妻の話に合わせながら演じて介護していくというストーリーで、劇団の主宰・菅原直樹さんは、岡田さんに合わせた台本を書きました。

(劇団「OiBokkeShi」主宰 菅原直樹さん)
「今回の芝居は岡田さんの実体験もとにしているので、岡田さんのせりふ覚えは一切ありません。岡田さんに奥さんの介護をしていた時のことを思い出してもらい、それを舞台上で再現してもらう」

岡田さんは、認知症を患った同い年の妻・郁子さんを約15年間介護してきました。

「郁ちゃん来たよ」「食べて、おいしい?」
2年程前・・・、郁子さんは施設から戻って来られなくなり、岡田さんは、舞台を続けながら見舞いに通っていました。

幼い頃から役者に憧れ、退職後は、映画のエキストラ出演や劇団での芝居が、岡田さんの生きがいとなっていました。

しかし、2023年に入ってからは・・・。

(岡田忠雄さん)
「わしはちょっと最近おかしい。自分のことが分からん。雲の中みたい。夜寝て、さみしさを感じる」

1月の末、妻・郁子さんは、施設で息を引き取ったのです。

(岡田忠雄さん)
「郁ちゃん、(カメラマンが)郁ちゃんのお別れに来てくれた、ありがとう言いなさい」

今回は郁子さんが亡くなってから初めて臨む舞台です。

(菅原直樹さん)
「もし岡田さんの体調みて、ちょっと27日(本番)に整えたいのであれば(練習)なしでも大丈夫」
(岡田忠雄さん)
「行きます!」

芝居への情熱と劇団員たちの支えで岡田さんは、妻の死を乗り越え舞台に立ちます。

「(お誕生日)おめでとう!」

舞台では、岡田さんが郁子さんと過ごした時間を、観客と共有するのです。

【5月27日・舞台当日の演技と「実生活」の様子】
「はるちゃん、カレーができたよ、はるちゃん持ってきたよ」
(実生活)「おーい郁ちゃん、おいしいのができたよ」「ゆっくり食べるんよ」

「はるちゃんどこ行く?。」
(実生活)「今からどこ行くん?」「暗いからだめ、外に行ったら」

「はるちゃんおらんから探していたんよ」「寒いね、これ着なさい」

(岡田忠雄さん)
(Q、きょうの舞台、郁子さんは何と言う?)
「よく頑張ったなと言うと思います」

岡田さんの芝居に溢れた妻への愛、老いることは決して悲しいことではなく、素敵なことなのだと教えてくれました。