2024.08.02
倒産企業が10年で最多に 物価高騰・賃金上昇に立ち向かう讃岐うどん店の“企業努力”【急上昇N香川】
今回の急上昇ニュースは、2024年上半期、倒産した企業が2014年以降、最多を記録したというニュースについてです。佐藤理子アナウンサーが大好きなある食べ物を通して現状をお伝えします。
(佐藤理子アナウンサー)
「大手調査会社の帝国データバンクによりますと、2024年上半期の倒産件数は全国で4887件と、2023年の同じ時期と比べて881件増加し、10年前の2014年以降最多となりました。 特に目立つのが飲食店です。2000年以降最多となる435件となりました。私も大好きな讃岐うどん店を中心に、企業が置かれた現状を取材しました」 高松市のうどん店「ひさ枝」です。 (客は…)
「いりこが効いておいしい」
「だし、飲み干せるくらい好き」 夏の人気メニューは「すだちうどん」。 (佐藤理子アナウンサー)
「すだちの香りがここまで漂っています。すっきりとしただしにすだちの香りが広がってさっぱりと食べられます。これは暑い夏でも食欲がわきます」 オープンから8年。コロナ禍を経て再び客足が戻り始めていますが…。 (ひさ枝 久枝了社長)
「油や肉もそうだが、メインで使う食材がどんどん値上がりし、うどんの粉も上がっている」 国際情勢の変化に加え、観光客の急増などで物価が高騰しています。 例えば天ぷらなどに必要な油は、一斗缶を2600円で仕入れていましたが、7月からは3850円と約1.5倍になりました。油は1週間で6、7缶使っています。ほかの食材も同じで、仕入れコストは1年で約1.2倍になったと言います。 (ひさ枝 久枝了社長)
「全て値上がりして、どうしようもない」
物価高騰に伴い、労働者の賃金も上がります。 香川県の最低賃金は年々上昇し、2023年10月には40円上がって918円に。店では高齢者を派遣するシルバー人材センターに昼時の3時間のみアルバイトを要請して人件費を抑えています。 (ひさ枝 久枝了社長)
「(アルバイトには) 3時間だけ来てと頼みづらいが、シルバーの人はそれが仕事なので、お互いにメリットがあると思う」
そして客にも負担をお願いすることにしました。客が自分で入れるネギなどの薬味は、取り放題をやめて紙コップなどの小分けに。 また、8月1日からはうどんや天ぷらなど全品最大50円値上げするという苦渋の決断をしました。 (ひさ枝 久枝了社長)
「今までなんとか頑張ってきたが、これはちょっとしゃれにならないということで、少し値上げして様子を見たい」
2023年、全国でそば・うどん店の倒産は21件と増加しています。「安くてうまい」というイメージがあるうどん店。帝国データバンクでは、物価高騰を前にしても値上げに踏み切れず、倒産に至ってしまうケースがあると分析しています。 (長尾龍希キャスター)
「身近なうどん店ですが、厳しい現状があるというのが分かる」
(森下花音キャスター)
「ただ消費者としては、うどんは安くてお腹いっぱいになるというのも魅力ですよね…」
(佐藤理子アナウンサー)
「うどんならではの「お得感」については悩ましい部分です。「ひさ枝」では、物価高騰の中でもちくわの天ぷらをすべての客に無料で提供するサービスをオープン以来続けています。店のイメージとなっているサービスをどうするか、苦悩しています」 (ひさ枝 久枝了社長)
「(ちくわの天ぷらの無料サービスは)やめたら、と言われるが、また値上げする時が来るかもしれない。これくらいは僕らの頑張りでやらしてもらいたい」 その上で久枝社長は、うどん店を巡る意識が変わってほしいとしています。
(ひさ枝 久枝了社長)
「香川県を背負って立つではないけれど、香川県の文化を引き継ぎたい。安くなくても来てくれるうどん文化にしたい」
(佐藤理子アナウンサー)
「倒産の多い業種をみると、サービス業、飲食店を含む小売業、建設業と続きました。その背景には物価高騰に加え、人手不足、コロナ禍での借金返済に苦しむ現状もあると報告されています。 さらに7月31日、日銀は追加の利上げを決定し、今後、金利負担も懸念されています。物価高騰、人手不足、借金返済、金利負担。地域経済を支える企業が「四重苦」とも言える大きな波にのまれる中、消費者として何ができるか考える時が来ています」
「大手調査会社の帝国データバンクによりますと、2024年上半期の倒産件数は全国で4887件と、2023年の同じ時期と比べて881件増加し、10年前の2014年以降最多となりました。 特に目立つのが飲食店です。2000年以降最多となる435件となりました。私も大好きな讃岐うどん店を中心に、企業が置かれた現状を取材しました」 高松市のうどん店「ひさ枝」です。 (客は…)
「いりこが効いておいしい」
「だし、飲み干せるくらい好き」 夏の人気メニューは「すだちうどん」。 (佐藤理子アナウンサー)
「すだちの香りがここまで漂っています。すっきりとしただしにすだちの香りが広がってさっぱりと食べられます。これは暑い夏でも食欲がわきます」 オープンから8年。コロナ禍を経て再び客足が戻り始めていますが…。 (ひさ枝 久枝了社長)
「油や肉もそうだが、メインで使う食材がどんどん値上がりし、うどんの粉も上がっている」 国際情勢の変化に加え、観光客の急増などで物価が高騰しています。 例えば天ぷらなどに必要な油は、一斗缶を2600円で仕入れていましたが、7月からは3850円と約1.5倍になりました。油は1週間で6、7缶使っています。ほかの食材も同じで、仕入れコストは1年で約1.2倍になったと言います。 (ひさ枝 久枝了社長)
「全て値上がりして、どうしようもない」
物価高騰に伴い、労働者の賃金も上がります。 香川県の最低賃金は年々上昇し、2023年10月には40円上がって918円に。店では高齢者を派遣するシルバー人材センターに昼時の3時間のみアルバイトを要請して人件費を抑えています。 (ひさ枝 久枝了社長)
「(アルバイトには) 3時間だけ来てと頼みづらいが、シルバーの人はそれが仕事なので、お互いにメリットがあると思う」
そして客にも負担をお願いすることにしました。客が自分で入れるネギなどの薬味は、取り放題をやめて紙コップなどの小分けに。 また、8月1日からはうどんや天ぷらなど全品最大50円値上げするという苦渋の決断をしました。 (ひさ枝 久枝了社長)
「今までなんとか頑張ってきたが、これはちょっとしゃれにならないということで、少し値上げして様子を見たい」
2023年、全国でそば・うどん店の倒産は21件と増加しています。「安くてうまい」というイメージがあるうどん店。帝国データバンクでは、物価高騰を前にしても値上げに踏み切れず、倒産に至ってしまうケースがあると分析しています。 (長尾龍希キャスター)
「身近なうどん店ですが、厳しい現状があるというのが分かる」
(森下花音キャスター)
「ただ消費者としては、うどんは安くてお腹いっぱいになるというのも魅力ですよね…」
(佐藤理子アナウンサー)
「うどんならではの「お得感」については悩ましい部分です。「ひさ枝」では、物価高騰の中でもちくわの天ぷらをすべての客に無料で提供するサービスをオープン以来続けています。店のイメージとなっているサービスをどうするか、苦悩しています」 (ひさ枝 久枝了社長)
「(ちくわの天ぷらの無料サービスは)やめたら、と言われるが、また値上げする時が来るかもしれない。これくらいは僕らの頑張りでやらしてもらいたい」 その上で久枝社長は、うどん店を巡る意識が変わってほしいとしています。
(ひさ枝 久枝了社長)
「香川県を背負って立つではないけれど、香川県の文化を引き継ぎたい。安くなくても来てくれるうどん文化にしたい」
(佐藤理子アナウンサー)
「倒産の多い業種をみると、サービス業、飲食店を含む小売業、建設業と続きました。その背景には物価高騰に加え、人手不足、コロナ禍での借金返済に苦しむ現状もあると報告されています。 さらに7月31日、日銀は追加の利上げを決定し、今後、金利負担も懸念されています。物価高騰、人手不足、借金返済、金利負担。地域経済を支える企業が「四重苦」とも言える大きな波にのまれる中、消費者として何ができるか考える時が来ています」