2024.11.09
岡山発!災害時から聴覚障害者の「命を守るアプリ」実用化へ…安心できる暮らしを目指す“アイデア”集まる
災害時に聴覚障害者の命を守るアプリの開発を進めている岡山大学病院の医師らが、10月、東京で行われたイベントに参加しました。そこで得られたのは、障害に関係なく安心して暮らせる未来のアイデアでした。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「日本は災害がたくさんあって、どうやって気付いたらいいか、助けを呼ぶかが大きな課題。聞こえる人も聞こえにくい人も、聞こえない人も、どうやって気付くか重要」
岡山大学病院耳鼻科の医師で、聴覚支援センター准教授、片岡祐子さんです。10月、東京で行われたイベント「サイエンスアゴラ」のステージに立ちました。
片岡さんは、2022年度から3年をかけて聴覚障害者に緊急情報を提供するアプリ「D-HELO」の開発を進めてきました。腕につけた端末が、救急車などの緊急車両や津波のサイレンなどの音を感知し、振動と画像で音の情報を届けます。
片岡さんの原動力は、約75年前に起きた悲しい出来事です。
1950年、岡山の盲学校とろう学校の寄宿舎が火事で全焼、盲学校の子供たちは全員無事だったものの、音が聞こえないろう学校の子供たち16人が亡くなったのです。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「状況が今も変わっていなくて、災害の時に困っている人が多くいるという事実があるから、何か次の一手を担っていけたら」
片岡さんに協力するのは、音の情報を振動に変換する機器を手掛ける大手電機メーカー富士通の開発者。アプリの技術者など、それぞれが連携し、試作を重ねてきました。2024年、岩手県と岡山県で聴覚障害者を対象に実証実験も行われ、アプリはまもなく実用化できる見通しです。
片岡さんたちにとって「サイエンスアゴラ」への参加は、大きな目標でもありました。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「ちょっとドキドキしつつも、どんな反応が得られるか楽しみ」
「岡山だけではなく、東京の人たちも今回参加するが、災害はいろんな場所で起こり得るから、広く発信していけると思う」
(富士通Ontennaプロジェクトリーダー 本多達也さん)
「実は技術が進化するだけでは不十分で、僕たちの意識が変わるのが一番大事だと思う。こういうワークショップや対話をきっかけに、私たち一人一人の意識が変わっていくのを大切にしている」
サイエンスアゴラは、未来のくらしに役立つ科学技術や取り組みを紹介するイベントです。
こちらは、難聴で聞こえにくい状態を再現した技術を体験してもらい、障害について理解を深めてもらおうという研究です。列車の揺れを制御する技術。もっと快適な移動ができるようになるのです。開発者と一般の人たちが直接触れ合い、生きた声が聴けるのがこのイベントの一番の魅力です。
(科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 東出洋主査)
「サイエンスアゴラとは、科学と社会をつなぐイベントとして今年(2024年)で19回目の開催。科学技術は、技術だけが先行していってもよくないと思っていて、一般の人たちがどう思っているのか、市民と対話しながら進んでいくものだと思う。対話の部分をサイエンスアゴラでは大切にしている」
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「東京にホテルに泊まっていました。宿泊した階で火災警報器が作動しました。20台も消防車がやってきました、宿泊者、全員避難」
片岡さんはD-HELOのデモンストレーションを行いました。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「来年(2025年)1月ごろ、一般ダウンロードも開始するので使ってもらえれば」
■端末で体験する様子
(参加した人は…)
「振動があるのはすごくいいと思う、もう少し強く振動してくれるとうれしい」
【参加からの意見やアイデアを発表】
「津波が来た時にどっちに逃げるか矢印が出る。矢印が出たら、矢印の方向にAIでコントロールして、人間が混雑しないように逃げる方向をそれぞれ計算して表してくれたら使いたい」
「振動(バイブ)も音の種類に合わせて変えられたらいいと思った。救急車なのか、パトカーなのか、火災警報器なのか、それぞれ分けてもらえたら」
「家だとリラックスして気を張っていない分、聞こえづらい人はもっと聞こえづらくなってしまうので、インターホンや風呂、水の出しっ放しの情報も通知されたらうれしいという話が出ました」
「(手話で)緊急車両が来た時、普通徐行するが、気付かないまま他の車が徐行する様子を見て、何かな?とそのまま進んでしまい、ミラー越しに救急車見つけて徐行したという経験がある。このアプリがあれば、みんなと同じタイミングできちんと徐行ができるし、便利なアプリ」
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「皆さんからのいろんなアイデア、私たちにとっても気付きとなった。多くの人と一緒に社会を作り、育てていくっていう方向に向かえたらいい」
岡山から全国に発信される命を守るアプリは、2025年1月の実用化を目指します。片岡さんに届いた多くの生の声は、より良い未来を開く鍵となりそうです。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「日本は災害がたくさんあって、どうやって気付いたらいいか、助けを呼ぶかが大きな課題。聞こえる人も聞こえにくい人も、聞こえない人も、どうやって気付くか重要」
岡山大学病院耳鼻科の医師で、聴覚支援センター准教授、片岡祐子さんです。10月、東京で行われたイベント「サイエンスアゴラ」のステージに立ちました。
片岡さんは、2022年度から3年をかけて聴覚障害者に緊急情報を提供するアプリ「D-HELO」の開発を進めてきました。腕につけた端末が、救急車などの緊急車両や津波のサイレンなどの音を感知し、振動と画像で音の情報を届けます。
片岡さんの原動力は、約75年前に起きた悲しい出来事です。
1950年、岡山の盲学校とろう学校の寄宿舎が火事で全焼、盲学校の子供たちは全員無事だったものの、音が聞こえないろう学校の子供たち16人が亡くなったのです。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「状況が今も変わっていなくて、災害の時に困っている人が多くいるという事実があるから、何か次の一手を担っていけたら」
片岡さんに協力するのは、音の情報を振動に変換する機器を手掛ける大手電機メーカー富士通の開発者。アプリの技術者など、それぞれが連携し、試作を重ねてきました。2024年、岩手県と岡山県で聴覚障害者を対象に実証実験も行われ、アプリはまもなく実用化できる見通しです。
片岡さんたちにとって「サイエンスアゴラ」への参加は、大きな目標でもありました。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「ちょっとドキドキしつつも、どんな反応が得られるか楽しみ」
「岡山だけではなく、東京の人たちも今回参加するが、災害はいろんな場所で起こり得るから、広く発信していけると思う」
(富士通Ontennaプロジェクトリーダー 本多達也さん)
「実は技術が進化するだけでは不十分で、僕たちの意識が変わるのが一番大事だと思う。こういうワークショップや対話をきっかけに、私たち一人一人の意識が変わっていくのを大切にしている」
サイエンスアゴラは、未来のくらしに役立つ科学技術や取り組みを紹介するイベントです。
こちらは、難聴で聞こえにくい状態を再現した技術を体験してもらい、障害について理解を深めてもらおうという研究です。列車の揺れを制御する技術。もっと快適な移動ができるようになるのです。開発者と一般の人たちが直接触れ合い、生きた声が聴けるのがこのイベントの一番の魅力です。
(科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 東出洋主査)
「サイエンスアゴラとは、科学と社会をつなぐイベントとして今年(2024年)で19回目の開催。科学技術は、技術だけが先行していってもよくないと思っていて、一般の人たちがどう思っているのか、市民と対話しながら進んでいくものだと思う。対話の部分をサイエンスアゴラでは大切にしている」
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「東京にホテルに泊まっていました。宿泊した階で火災警報器が作動しました。20台も消防車がやってきました、宿泊者、全員避難」
片岡さんはD-HELOのデモンストレーションを行いました。
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「来年(2025年)1月ごろ、一般ダウンロードも開始するので使ってもらえれば」
■端末で体験する様子
(参加した人は…)
「振動があるのはすごくいいと思う、もう少し強く振動してくれるとうれしい」
【参加からの意見やアイデアを発表】
「津波が来た時にどっちに逃げるか矢印が出る。矢印が出たら、矢印の方向にAIでコントロールして、人間が混雑しないように逃げる方向をそれぞれ計算して表してくれたら使いたい」
「振動(バイブ)も音の種類に合わせて変えられたらいいと思った。救急車なのか、パトカーなのか、火災警報器なのか、それぞれ分けてもらえたら」
「家だとリラックスして気を張っていない分、聞こえづらい人はもっと聞こえづらくなってしまうので、インターホンや風呂、水の出しっ放しの情報も通知されたらうれしいという話が出ました」
「(手話で)緊急車両が来た時、普通徐行するが、気付かないまま他の車が徐行する様子を見て、何かな?とそのまま進んでしまい、ミラー越しに救急車見つけて徐行したという経験がある。このアプリがあれば、みんなと同じタイミングできちんと徐行ができるし、便利なアプリ」
(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「皆さんからのいろんなアイデア、私たちにとっても気付きとなった。多くの人と一緒に社会を作り、育てていくっていう方向に向かえたらいい」
岡山から全国に発信される命を守るアプリは、2025年1月の実用化を目指します。片岡さんに届いた多くの生の声は、より良い未来を開く鍵となりそうです。