2025.03.12
障害の有無での壁を…14歳がろう者との交流で気づいた「手話を学ぶこと」の意義【手話が語る福祉】
手話が語る福祉のコーナーです。手話に魅力を感じ幼いころから学んでいる岡山市の中学2年生。手話を学ぶことはろう者を知ることにつながる、14歳の彼女が気付いたこととは。
2月、県などが主催する「おかやま新聞コンクール」の表彰式が行われました。約3300の応募の中から優秀賞に選ばれたのは、中学2年生の與曽井(よそい)美希さん(14)。
県立の盲学校と聾(ろう)学校が統合し、新校名で開校するという新聞記事についての感想文を書きました。
「この記事を読んで、すっかり忘れていた小学生の時の記憶が蘇った。本当は、別の中学校に行きたかった。なぜ通えなかったのか。それは「聾学校」だったからだ」
(與曽井美希さん)
「障害があって、行きたい学校に行けないとか、障害がなくてもこの学校には行けないとかで、障害がない人とある人の壁がいま少しあると思うから、それをどうなくしていくか改めて考えていきたい」
岡山市に住む與曽井さん。地元の中学校に通っています。
(英語のリーディング光景)
得意な教科は英語。3歳の時には既に中学初級レベルの英検5級に合格し、いまも勉強に励んでいます。
そんな與曽井さんが夢中になっているもう一つの言語があります。それが「手話」です。
(與曽井美希さん)
「5歳くらいの時に手話ニュースを見ていて、指文字でトランプ大統領の「プ」の文字が面白くて、手話面白そうという感じで始めた」
指文字とは50音などを手や指の形で表現するもので、そこから手話の世界に引き込まれ、すぐに本を買いに行って手話を学び始め、小学6年生で手話検定3級に合格しました。
(與曽井美希さん)
「DVDを見て手話を読み取ったり、少しずつ単語を覚えたりしている、まだまだ難しい」
身近に手話を使う人がいないため、もっと手話を使いたい、友達と手話で話したい、と「聾学校に行きたい」と思うようになりましたが、耳が聞こえる與曽井さんは聾学校に行くことはできません。
(與曽井美希さん)
「インクルーシブ教育で障害があるなしに関わらず一緒に教育を受けられるという流れになっているけれど、インクルーシブではないなと思った」
手話に興味を持ち始めた5歳の頃から通い続けているのが手話サークルです。月に2回集まって手話表現を学んだり、手話でのコミュニケーションを楽しみます。
(與曽井美希さん)
「最終的にろうの人と会話できたらいいなと思う。(Q:どんなことを話してみたい?)耳が聞こえないことで生活で大変なことや(自分と)ろう者の生活がどう違うかなどを話して知りたい。同年代のろう者とも、まだあまり話したことがないから手話で話してみたい」
與曽井さんには会ってみたい人がいました。それは・・・デフバドミントンの片山結愛選手(ノートルダム清心女子大学3年)です。
学校でバドミントン部に所属している與曽井さん。片山さんが、きこえない・きこえにくい人のオリンピック「デフリンピック」出場を目指していることを知り、ぜひ話を聞きたいと、この日、高松市で練習中の片山さんを訪ねました。
(與曽井美希さん)
「聞こえているときと、どういうふうに違うのか」
(デフバドミントン 片山結愛選手)
「補聴器と人工内耳を外すと何も音が聞こえない状態。初め合宿でデフバドミントンを体験したときにシャトルにきれいに当てることができなかった。パートナーとのローテーションもお互い聞こえないので難しい」
実際にデフバドミントンを疑似体験してみることに。與曽井さんも耳栓をして挑戦です。
思うようにシャトルに当たらず、苦戦・・
(與曽井美希さん)
「すごく楽しかった。(Q:補聴器なしの片山さんのプレー、違い感じた?)私にはそんなに違いが分からなかった」
ハンデを抱えながらそれを感じさせない片山さんのプレーに触れ、また新たな世界が広がりました。
(片山結愛さん)
「健聴者でろう者が身近にいなくてもこうして(デフスポーツに)興味を持ってもらえるだけでもすごくうれしい」
(片山結愛さん)
「これからも手話での活動やバドミントンも頑張ってください。応援しています」
(與曽井美希さん)
「ありがとうございます」
◇3月2日
もっと多くのろう者と話したい。與曽井さんはこの日、3月3日の「耳の日」にあわせて開催された、聴覚障害への理解を深めてもらおうというイベントを訪れました。イベントでは、聾学校で手話が禁止された時代など、日本の社会制度によって苦しめられてきたろう者の痛みを描いた映画が上映されました。
與曽井さんは、会場にいるろう者に、これまで学んだ手話を使って話しかけてみました。
(與曽井美希さん)
「手話を学ぶのに大事なことはなんですか」
(ろう者 伴徹さん)
「手話単語をきっちり覚えてからろう者と付き合うよりも、分からなくてもとにかく付き合って話すことが大事」
これまであまりろう者と話すことがなかった與曽井さん。
(ろう者 伴徹さん)
「聞こえる人とも手話で会話できるのがやはり1番良い。きょうみたいなイベントは交流するいい機会。ほかにもこんな場所はたくさんあるから、そこでろう者と交流することで、もっと手話も上達すると思う。これから手話をいろんな人に教えてあげてほしい。私の代わりに。そうしたら仲間も増えると思う」
ろう者を取り巻く歴史を知ること、そして当事者の言葉が14歳の心に響きました。
(與曽井美希さん)
「手話というのが言語して扱われず、手話を使ってはいけない時代が昔あって、それが改善されていまがある。ろう者にとって生活する上でとても大切なものだと改めて知った」
聾学校に行けなくても、いま與曽井さんができることがあります。
(與曽井美希さん)
「手話でコミュニケーションすることで分かることはたくさんあると思う。もっと手話を勉強してろう者や友達とどんどん手話で楽しみたい」
ろう者と交流してまた一歩踏み出した與曽井さん。こうした一人一人の理解が広がることがインクルーシブな社会を実現させると思います。



(與曽井美希さん)
「障害があって、行きたい学校に行けないとか、障害がなくてもこの学校には行けないとかで、障害がない人とある人の壁がいま少しあると思うから、それをどうなくしていくか改めて考えていきたい」

(英語のリーディング光景)
得意な教科は英語。3歳の時には既に中学初級レベルの英検5級に合格し、いまも勉強に励んでいます。
そんな與曽井さんが夢中になっているもう一つの言語があります。それが「手話」です。
(與曽井美希さん)
「5歳くらいの時に手話ニュースを見ていて、指文字でトランプ大統領の「プ」の文字が面白くて、手話面白そうという感じで始めた」


「DVDを見て手話を読み取ったり、少しずつ単語を覚えたりしている、まだまだ難しい」
身近に手話を使う人がいないため、もっと手話を使いたい、友達と手話で話したい、と「聾学校に行きたい」と思うようになりましたが、耳が聞こえる與曽井さんは聾学校に行くことはできません。

「インクルーシブ教育で障害があるなしに関わらず一緒に教育を受けられるという流れになっているけれど、インクルーシブではないなと思った」

「最終的にろうの人と会話できたらいいなと思う。(Q:どんなことを話してみたい?)耳が聞こえないことで生活で大変なことや(自分と)ろう者の生活がどう違うかなどを話して知りたい。同年代のろう者とも、まだあまり話したことがないから手話で話してみたい」


(與曽井美希さん)
「聞こえているときと、どういうふうに違うのか」
(デフバドミントン 片山結愛選手)
「補聴器と人工内耳を外すと何も音が聞こえない状態。初め合宿でデフバドミントンを体験したときにシャトルにきれいに当てることができなかった。パートナーとのローテーションもお互い聞こえないので難しい」

思うようにシャトルに当たらず、苦戦・・

「すごく楽しかった。(Q:補聴器なしの片山さんのプレー、違い感じた?)私にはそんなに違いが分からなかった」

(片山結愛さん)
「健聴者でろう者が身近にいなくてもこうして(デフスポーツに)興味を持ってもらえるだけでもすごくうれしい」

「これからも手話での活動やバドミントンも頑張ってください。応援しています」
(與曽井美希さん)
「ありがとうございます」
◇3月2日

與曽井さんは、会場にいるろう者に、これまで学んだ手話を使って話しかけてみました。
(與曽井美希さん)
「手話を学ぶのに大事なことはなんですか」

「手話単語をきっちり覚えてからろう者と付き合うよりも、分からなくてもとにかく付き合って話すことが大事」

(ろう者 伴徹さん)
「聞こえる人とも手話で会話できるのがやはり1番良い。きょうみたいなイベントは交流するいい機会。ほかにもこんな場所はたくさんあるから、そこでろう者と交流することで、もっと手話も上達すると思う。これから手話をいろんな人に教えてあげてほしい。私の代わりに。そうしたら仲間も増えると思う」
ろう者を取り巻く歴史を知ること、そして当事者の言葉が14歳の心に響きました。
(與曽井美希さん)
「手話というのが言語して扱われず、手話を使ってはいけない時代が昔あって、それが改善されていまがある。ろう者にとって生活する上でとても大切なものだと改めて知った」

(與曽井美希さん)
「手話でコミュニケーションすることで分かることはたくさんあると思う。もっと手話を勉強してろう者や友達とどんどん手話で楽しみたい」
ろう者と交流してまた一歩踏み出した與曽井さん。こうした一人一人の理解が広がることがインクルーシブな社会を実現させると思います。