2022.08.14
【手話が語る福祉】投票したくても行けない…候補者の声が聞こえない…障害者と選挙【岡山・香川】
手話が語る福祉のコーナーです。7月、参議院議員選挙が行われました。今回は、障害者と選挙について取材しました。
岡山市にある自宅のベッドに横たわり、候補者の訴えを見るこちらの女性。約20年前に交通事故で、大腿骨などを折る重傷を負い、現在は、ほぼ寝たきりです。 (ほぼ寝たきりの女性と篠田吉央キャスターのやりとり)
「(体の状態は)日々悪くなっている。深刻な状態。(Q.これはなんですか?)(選挙の)投票券です。(Q.過去の選挙も含めて?)そうです。こんなもの一方的に送り付けてこられても投票に行けない状態」 病気や障害で投票所に行けない人のために、自宅にいながら郵便で投票できる制度があります。しかし、対象となるのは、重い障害を持つ身体障害者手帳1級2級を持つ人たちだけで、4級のこの女性には適用されません。
女性は、2020年の岡山県知事選挙で等級を理由に投票できなかったのは、法の下の平等に反しているとして、現在、損害賠償を求め国と裁判で争っています。
(ほぼ寝たきりの女性)
「私の1票は小さな1票かもしれないけど、数がいっぱい集まることによって、初めて国民の意見として思いが伝わる。それを奪う権利は行政にはありません」 一方で、障害者が投票しやすい環境作りが進んでいないわけではありません。
(篠田吉央キャスター)
「岡山市中区の期日前投票所です」 「岡山市では、投票時における情報のバリアフリー化を図ろうと、例えば視覚に障害がある方のために、このように立候補者名を点字で表記したものを用意したり、」 「投票時に点字器を貸し出し、自分で点字を打って一票を投じられるようにするなど、障害がある方のために様々な対応を取っています」 この日、家族に付き添われ期日前投票所を訪れたのは、視覚に障害がある川田忠茂さん。県視覚障害者センターの所長を務めています。 毎回、点字器を使って1票を投じている川田さん。自分で投票することにこだわりたいといいます。
(岡山県視覚障害者センター 川田忠茂所長)
「『(投票という)義務が果たせた』イコール『社会参加しているな』と思います。障害がある方もない方もみんな平等だと思う」 また、大型商業施設に設けられた期日前投票所は、店内の段差がなく、車いすでも利用しやすいため、利便性が高まっているといいます。 (車いすで投票に訪れた人の家族)
「(大型商業施設だと)段差がないですね。フロアも平らだし、広さもあるので楽ですね。普通の小学校に(投票に)行くよりは、段差が少ない気がします」
(篠田吉央キャスター)
「一方、立候補者の訴えは、障害者に届いているのでしょうか」
(岸田首相 街頭演説)
「世界は大きな時代の曲がり角にある」
選挙戦終盤の7月7日。JR岡山駅西口で、岸田文雄首相が街頭演説を行いました。
(訪れた聴覚障害者やりとり)
「手話通訳は?」
「ない」
「ないの?」 首相の訴えを間近で見たいと訪れた聴覚に障害がある女性たちには、大音量で響き渡る街頭演説も…。
「無音の演説」「無音の拍手」
(訪れた聴覚障害者が候補者に手話で訴える)
「(街頭演説に)手話通訳を付けて下さい」 (篠田吉央キャスター)
「演説の内容は分かりましたか?」
(訪れた聴覚障害者)
「分からない。情報が全くなくて分からない。手話通訳があれば内容が分かる」
「私たち市民にとって、選挙の権利とは、どういう意味なのかと思った」 政見放送では、手話通訳に対し、公費負担があるものの、街頭演説では候補者側の負担となります。 岡山県内では、今回の参院選で、手話通訳士が街頭で通訳したのは3件しかありませんでした。
一方、視覚障害者は・・・。
(篠田吉央キャスター)
「こんにちは。今、手に持たれているのは何ですか?」
(岡山県視覚障害者センター 川田忠茂所長)
「参議院選挙の音声版の選挙公報ですね。こちらが点字版の選挙広報です」
(音声版選挙広報 再生)
「ピッ 福祉政策 障害者福祉など社会保障を充実します」
各世帯に配付される選挙公報には、視覚障害者のための点字版と音声CDがあります。
しかし、事故や病気などで後天的に失明した人には点字を読めない人が多く、音声CDも認知度不足から十分に行き渡っていないのが現状です。
(岡山県視覚障害者センター 川田忠茂所長)
「(音声版選挙公報の)数分で自分の言いたいことが全部言えているとは思わない。(訴えの)エッセンスだけなので、判断する材料も正直少ないと思う。」 「ホームページなどに行けば、もっと詳しい主張が述べられていると思うが、ホームページを見られる人ばかりではないと思うので。投票しやすくすればするほど投票率は上がっていくと思う。ということは国民の本当の声が届く」
国民1人1人の声を届ける貴重な機会となる選挙。誰にでも平等に与えられる1票が、しっかりと行使されることが求められています。
岡山市にある自宅のベッドに横たわり、候補者の訴えを見るこちらの女性。約20年前に交通事故で、大腿骨などを折る重傷を負い、現在は、ほぼ寝たきりです。 (ほぼ寝たきりの女性と篠田吉央キャスターのやりとり)
「(体の状態は)日々悪くなっている。深刻な状態。(Q.これはなんですか?)(選挙の)投票券です。(Q.過去の選挙も含めて?)そうです。こんなもの一方的に送り付けてこられても投票に行けない状態」 病気や障害で投票所に行けない人のために、自宅にいながら郵便で投票できる制度があります。しかし、対象となるのは、重い障害を持つ身体障害者手帳1級2級を持つ人たちだけで、4級のこの女性には適用されません。
「私の1票は小さな1票かもしれないけど、数がいっぱい集まることによって、初めて国民の意見として思いが伝わる。それを奪う権利は行政にはありません」 一方で、障害者が投票しやすい環境作りが進んでいないわけではありません。
(篠田吉央キャスター)
「岡山市中区の期日前投票所です」 「岡山市では、投票時における情報のバリアフリー化を図ろうと、例えば視覚に障害がある方のために、このように立候補者名を点字で表記したものを用意したり、」 「投票時に点字器を貸し出し、自分で点字を打って一票を投じられるようにするなど、障害がある方のために様々な対応を取っています」 この日、家族に付き添われ期日前投票所を訪れたのは、視覚に障害がある川田忠茂さん。県視覚障害者センターの所長を務めています。 毎回、点字器を使って1票を投じている川田さん。自分で投票することにこだわりたいといいます。
(岡山県視覚障害者センター 川田忠茂所長)
「『(投票という)義務が果たせた』イコール『社会参加しているな』と思います。障害がある方もない方もみんな平等だと思う」 また、大型商業施設に設けられた期日前投票所は、店内の段差がなく、車いすでも利用しやすいため、利便性が高まっているといいます。 (車いすで投票に訪れた人の家族)
「(大型商業施設だと)段差がないですね。フロアも平らだし、広さもあるので楽ですね。普通の小学校に(投票に)行くよりは、段差が少ない気がします」
「一方、立候補者の訴えは、障害者に届いているのでしょうか」
(岸田首相 街頭演説)
「世界は大きな時代の曲がり角にある」
「手話通訳は?」
「ない」
「ないの?」 首相の訴えを間近で見たいと訪れた聴覚に障害がある女性たちには、大音量で響き渡る街頭演説も…。
「無音の演説」「無音の拍手」
(訪れた聴覚障害者が候補者に手話で訴える)
「(街頭演説に)手話通訳を付けて下さい」 (篠田吉央キャスター)
「演説の内容は分かりましたか?」
(訪れた聴覚障害者)
「分からない。情報が全くなくて分からない。手話通訳があれば内容が分かる」
「私たち市民にとって、選挙の権利とは、どういう意味なのかと思った」 政見放送では、手話通訳に対し、公費負担があるものの、街頭演説では候補者側の負担となります。 岡山県内では、今回の参院選で、手話通訳士が街頭で通訳したのは3件しかありませんでした。
「こんにちは。今、手に持たれているのは何ですか?」
(岡山県視覚障害者センター 川田忠茂所長)
「参議院選挙の音声版の選挙公報ですね。こちらが点字版の選挙広報です」
(音声版選挙広報 再生)
「ピッ 福祉政策 障害者福祉など社会保障を充実します」
各世帯に配付される選挙公報には、視覚障害者のための点字版と音声CDがあります。
「(音声版選挙公報の)数分で自分の言いたいことが全部言えているとは思わない。(訴えの)エッセンスだけなので、判断する材料も正直少ないと思う。」 「ホームページなどに行けば、もっと詳しい主張が述べられていると思うが、ホームページを見られる人ばかりではないと思うので。投票しやすくすればするほど投票率は上がっていくと思う。ということは国民の本当の声が届く」
国民1人1人の声を届ける貴重な機会となる選挙。誰にでも平等に与えられる1票が、しっかりと行使されることが求められています。