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トヨタ社長にも届いた「モータースポーツの新たな楽しみ方」バリアフリーが変える未来【岡山】

2022.11.06

トヨタ社長にも届いた「モータースポーツの新たな楽しみ方」バリアフリーが変える未来【岡山】

手話が語る福祉のコーナーです。岡山県美作市で10月、誰もがモータースポーツを楽しめることを目指した実証実験が行われました。“手話による実況”など様々な取り組みは、レース観戦の魅力を伝えられたのでしょうか。

(響き渡るエンジン音)
手話 トヨタモビリティ02
美作市の岡山国際サーキットで行われた“スーパー耐久レース”。注目レーサーの1人が、「モリゾウ」というレーシングネームで参戦した、トヨタ自動車の豊田章男社長です。
手話 トヨタモビリティ03
予選終了後、姿を現すと・・・

(トヨタ自動車 豊田章男社長)
「モリゾウを手話で表現するとどうなるの?」
手話 トヨタモビリティ03-1
(聴覚障害がある男性)
「これがモリ(森の手話表現)ゾウは指文字で表現」

(トヨタ自動車 豊田章男社長)
「(手話で)モリゾウ。お~これ覚えよう」
手話 トヨタモビリティ04
豊田社長が手話をしている訳は、このレースで“ある実証実験”が行われたためです。

そのテーマは、「誰もがモータースポーツを楽しめるために」。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金の助成で行われたもので、約30年、手話放送に取り組むOHKも参加しました。そのメインの取り組みが・・・

(篠田吉央キャスター)
「いよいよ“手話実況”が始まります」
 
(実況・解説音声を手話表現)
「メインストレートからブレーキングして第1コーナー。今、右に曲がっています。続いて左に大きく曲がっていくのが第2コーナーですね。ここ非常に難しい。出口が下っている。ちょっと下っていて滑りやすい」
手話 トヨタモビリティ07
画面右隅に表示されている手話による実況。国内のモータースポーツで史上初めて行われました。

(手話実況を担当する早瀬憲太郎さん)
「(聴覚障害者は)いつもスポーツは映像を眺めるだけ。興奮する実況の様子は字幕では伝わらない。健常者と比べるとスポーツの楽しみは半減して残念」
手話 トヨタモビリティ08
担当するのは早瀬憲太郎さん。聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」に自転車競技で出場したアスリートです。
手話 トヨタモビリティ09
レース配信チャンネルのアナウンサーや解説者のコメントをまず2人の健常者が手話通訳。その手話とレースの映像、アナウンサーの表情を見て早瀬さんが感情豊かに手話で実況します。スピード感や鋭いコーナリングの興奮を伝えます。
手話 トヨタモビリティ10
(実況・解説音声を手話表現)
「速いタイムを出したい思いからギリギリを攻めるんですよね。チームの成績もさることながら、ドライバーも自らの誇りにかけ、ミスなく速いタイムを出すドライバーの資質をアピールする」
手話 トヨタモビリティ11
(配信映像を見た聴覚障害者)
「レースのルールや概要、タイヤの状態など詳しい話が分かり知識が広がった」
手話 トヨタモビリティ12
「手話実況を見ると選手の様子など、さらに深く選手の情報を知ることができ面白かった。知らなかった世界が広がった」

無事、実況終了。

(手話実況を担当する早瀬憲太郎さん)
「きょうから始まると思う。今後、手話の解説・実況が当たり前になってほしい。“実況ってこんなこと言ってるの?”“スポーツの世界は楽しい”と感じたと思う。これをきっかけに野球やサッカーなどでも手話実況を見たいという声が上がったらいい」
手話 トヨタモビリティ13
今回の実証実験で、OHKは手話実況のほかにも3つの取り組みを行いました。

■備前焼で作った“コースの模型”

実際のコースと似たザラザラした感触や高低差を再現し、視覚障害者などに触ってサーキットを感じてもらいます。
手話 トヨタモビリティ14
(体験した視覚障害者)
「複雑ですね意外と。最初は楕円形のコースを単純にグルグル回ると思ってたが、こんなにグネグネ曲がっているとは知らなかった。ここが一番高いな。音で楽しむだけでしたから、今までは」
手話 トヨタモビリティ15
「小さい時は少し見えていて、その時はF1中継が好きでテレビで見ていたが、見えなくなってからは・・・。今どの辺りを走っているのかイメージしながら解説して頂けたらいい」
手話 トヨタモビリティ16
■QRコードを使って手軽に情報にアクセスする「シュワQ」

手話、字幕、音声付きのユニバーサル対応動画で、コースなどを紹介します。
手話 トヨタモビリティ17
(体験した聴覚障害者)
「手話だったら気持ちが伝わっていい」
「様子が良く分かるね。(このような)情報保障がいろんな場所にあれば私たちも安心できる」
手話 トヨタモビリティ18
■スマホを通じて遠隔で手話通訳者を呼び出せるシステム

サーキット周辺の宿泊施設で実験。聴覚障害者と手話のできない健常者とのコミュニケーションを可能にしました。
手話 トヨタモビリティ19
(旅館スタッフの音声を手話に通訳)
「岡山県新見市の名牛“千屋牛”を使ったすき鍋です。すき焼きの汁を全部飲むことができる」
手話 トヨタモビリティ20
(聴覚障害者の手話を音声に通訳)
「そうですか。これ全部お出汁を頂けるんですね」

(旅館スタッフ)
「はいそうです」

(遠隔手話通訳を使った聴覚障害者)
「今までは、それぞれの料理の内容を聞きたかったが、聞きにくく、遠慮して黙って食べることが多かった。情報があって食べると、本当においしい」
手話 トヨタモビリティ21
健常者と障害者が歩み寄り、情報から誰一人取り残されないモータースポーツ観戦を目指す取り組みに対し、トヨタ自動車の豊田社長は・・・

(トヨタ自動車 豊田章男社長(トヨタ・モビリティ基金 理事長))
「(手話は分からないが)手の動きを見ていたら意味が分かり面白かった」
手話 トヨタモビリティ22
「健常者にとっては身振り手振りと表情で非常に情報が伝わった。モリゾウ(私)の運転の評価は?」
(手話担当をする早瀬憲太郎さん)
「コーナーが少しね・・・」(一同笑う)
 
バリアフリー化された情報は、障害がある人、ない人それぞれにモータースポーツの新しい魅力を伝えたようです。