2022.12.01
ドラマ『silent』出演者が語る「撮影現場の変化」 聖地巡礼が人気で手話にも関心【岡山・香川】
手話が語る福祉のコーナーです。テレビ番組の配信サービスTVerで最多の再生回数を記録するなど、多くの注目を集めるドラマ「silent(サイレント)」。手話で表現すると「雪」が「静か」と表します。
実は、このドラマには、”ろう者(聴覚障害者)”が俳優として出演しています。
(メイキングVTR)
「用意…はい(音:カチン)」「(川口春奈さんが手話で)おはよう、こんにちは、こんばんは」
女優の川口春奈さんが撮影の合間に見ているのは手話のテキスト。手話によるセリフを何度も練習します。
フジテレビ系列で毎週木曜日午後10時から放送しているドラマ「silent」。聴力をほぼ失った男性が、元恋人や旧友と再会することで起きる、切ない人間模様を描いています。 (篠田吉央キャスター)
「こちらがドラマの撮影現場となったカフェです。多くのファンが訪れています。こちらがドラマで使用された席なんですが…ちなみにどれくらい前から予約されたんですか?」 (訪れた人)
「3~4週間くらい前から予約していました」
(篠田吉央キャスター)
「やっと来られた」
実はこのドラマには、聴覚に障害がある2人のろう者が出演しています。
(那須映里さん)
「川口春奈さんの場合は、初めて手話を学んだ雰囲気を出すのが上手い」 こう語るのは、”ろう者の友人役”で出演する那須映里さん。家族全員がろう者のデフファミリーに生まれました。
(那須映里さん)
「ろう者が俳優として出るのは、今までのドラマではあまりなかった。なぜ、ろう者が出ているのか。ろう者当事者が演じることの大切さが大事だと思う。こういった文化があるということを知って欲しい」 手話教室の講師役でドラマに出演し、手話劇団の代表も務める江副悟史さんは、「聴覚に障害があっても演じられることを知ってほしい」と言います。
(江副悟史さん)
「(アメリカに)留学していた時に、”ろうの役者”に会った。その時に非常に話が面白くて、今まではお喋りの手話だったが、演じる手話の魅力、表現する魅力がわかった。私たちだけでなく、たくさん”ろうの俳優”がいる。ほとんど舞台俳優で活躍されている方だが、演じることができる”ろう者”がいることがもっと広まればいい」 (篠田吉央キャスター)
「社会の中にバリアを感じますか?」
(江副悟史さん)
「感じていないです。逆に、聞こえる人から見られる時、壁を作られていることが多い。カーテンのようにペラペラした壁だと思っている。向こうからも見える。こちらからは閉められているカーテンを開ければ、というタイプの江副であります」
ろう者が出演することで、ドラマの撮影現場にも変化が現れました。
(那須映里さん)
「用意スタートというのではなく、54321というように指で合図してくれる。終わりのタイミング。カットという手話もあるが遠くて見えないので、一緒に演じている(ろう者役の)夏帆さんや(佐倉創役の)目黒蓮さんが、終わったタイミングでカットの合図をしてくれる。それが非常にありがたい」 手話は日本語の話し言葉とは「語順」や「文法」が違う、”ろう文化”の中で生まれた言語です。
しかし、手話はかつて「日本語の習得を妨げる」として、ろう学校では何十年にもわたり使用を禁止され、口の形から言葉を読み取り発声する「口話教育」の時代が長く続きました。
(江副悟史さん)
「私も”ろう学校”で『社会では口話が必要だ』と言われ育ってきた。社会に出てコンビニとか銀行とか色んな所に行って、『聞こえません。よろしく』と言うと、すぐ”筆談用の紙”が出てくる。声を出してという人は1人もいない」
(那須映里さん)
「就職活動の時にまず『声出せる?声使う?声出してみて』と就職相談室の人に言われる。『使えません。筆談でお願いします』と言うと、落ちる。他の声を出している”ろう者”は就職に合格する。声が出せた方が社会で生きやすいという親切心から、みなさん言ってくれたのだと思うが、”ろう者”として生きるために頑張ろうというのは、結局のところ、社会参加で声が出せないと対等になれないことになる。声が必要という考え方は、まだまだ残っていると思う。ドラマを見てそういった考え方が無くなってくれるのを期待しています」
ドラマ「silent」の効果もあって、今、手話に関心を持つ人が増えています。ロケ地を訪れたファンから聞かれたのは、手話の豊かな表現に対する興味でした。
(訪れたファンは…)
「『好き』でも、『ごめんなさい』でも、表情と手の動きで全部わかる。(手話を)習いたいなと思う」
「すごい感情が伝わってきます。手話が分からなくても表情で伝わってくる」
音のない世界を描くこのドラマは、見る人に様々な気付きを与えてくれるはずです。
(那須映里さん)
「今、サイレントをきっかけに、手話を学びたい人や、”ろう者”に興味を持っている人が非常に増えている。ドラマが終わってその波が終わってしまうのではなく、それをさらに盛り上げていくために企画を作ったり、”ろうの役者”が出るという流れを高めていきたいと思っている」
(江副悟史さん)
「”ろう者”としてでなく、江副として見て欲しい。私も聞こえる人だからということではなく、相手を個人として見るので、お互い目を見てちゃんと話したい」
お互いに理解することで社会のバリアが取り除かれること期待します。
実は、このドラマには、”ろう者(聴覚障害者)”が俳優として出演しています。
(メイキングVTR)
「用意…はい(音:カチン)」「(川口春奈さんが手話で)おはよう、こんにちは、こんばんは」
女優の川口春奈さんが撮影の合間に見ているのは手話のテキスト。手話によるセリフを何度も練習します。
フジテレビ系列で毎週木曜日午後10時から放送しているドラマ「silent」。聴力をほぼ失った男性が、元恋人や旧友と再会することで起きる、切ない人間模様を描いています。 (篠田吉央キャスター)
「こちらがドラマの撮影現場となったカフェです。多くのファンが訪れています。こちらがドラマで使用された席なんですが…ちなみにどれくらい前から予約されたんですか?」 (訪れた人)
「3~4週間くらい前から予約していました」
(篠田吉央キャスター)
「やっと来られた」
実はこのドラマには、聴覚に障害がある2人のろう者が出演しています。
(那須映里さん)
「川口春奈さんの場合は、初めて手話を学んだ雰囲気を出すのが上手い」 こう語るのは、”ろう者の友人役”で出演する那須映里さん。家族全員がろう者のデフファミリーに生まれました。
(那須映里さん)
「ろう者が俳優として出るのは、今までのドラマではあまりなかった。なぜ、ろう者が出ているのか。ろう者当事者が演じることの大切さが大事だと思う。こういった文化があるということを知って欲しい」 手話教室の講師役でドラマに出演し、手話劇団の代表も務める江副悟史さんは、「聴覚に障害があっても演じられることを知ってほしい」と言います。
(江副悟史さん)
「(アメリカに)留学していた時に、”ろうの役者”に会った。その時に非常に話が面白くて、今まではお喋りの手話だったが、演じる手話の魅力、表現する魅力がわかった。私たちだけでなく、たくさん”ろうの俳優”がいる。ほとんど舞台俳優で活躍されている方だが、演じることができる”ろう者”がいることがもっと広まればいい」 (篠田吉央キャスター)
「社会の中にバリアを感じますか?」
(江副悟史さん)
「感じていないです。逆に、聞こえる人から見られる時、壁を作られていることが多い。カーテンのようにペラペラした壁だと思っている。向こうからも見える。こちらからは閉められているカーテンを開ければ、というタイプの江副であります」
ろう者が出演することで、ドラマの撮影現場にも変化が現れました。
(那須映里さん)
「用意スタートというのではなく、54321というように指で合図してくれる。終わりのタイミング。カットという手話もあるが遠くて見えないので、一緒に演じている(ろう者役の)夏帆さんや(佐倉創役の)目黒蓮さんが、終わったタイミングでカットの合図をしてくれる。それが非常にありがたい」 手話は日本語の話し言葉とは「語順」や「文法」が違う、”ろう文化”の中で生まれた言語です。
しかし、手話はかつて「日本語の習得を妨げる」として、ろう学校では何十年にもわたり使用を禁止され、口の形から言葉を読み取り発声する「口話教育」の時代が長く続きました。
(江副悟史さん)
「私も”ろう学校”で『社会では口話が必要だ』と言われ育ってきた。社会に出てコンビニとか銀行とか色んな所に行って、『聞こえません。よろしく』と言うと、すぐ”筆談用の紙”が出てくる。声を出してという人は1人もいない」
(那須映里さん)
「就職活動の時にまず『声出せる?声使う?声出してみて』と就職相談室の人に言われる。『使えません。筆談でお願いします』と言うと、落ちる。他の声を出している”ろう者”は就職に合格する。声が出せた方が社会で生きやすいという親切心から、みなさん言ってくれたのだと思うが、”ろう者”として生きるために頑張ろうというのは、結局のところ、社会参加で声が出せないと対等になれないことになる。声が必要という考え方は、まだまだ残っていると思う。ドラマを見てそういった考え方が無くなってくれるのを期待しています」
ドラマ「silent」の効果もあって、今、手話に関心を持つ人が増えています。ロケ地を訪れたファンから聞かれたのは、手話の豊かな表現に対する興味でした。
(訪れたファンは…)
「『好き』でも、『ごめんなさい』でも、表情と手の動きで全部わかる。(手話を)習いたいなと思う」
「すごい感情が伝わってきます。手話が分からなくても表情で伝わってくる」
音のない世界を描くこのドラマは、見る人に様々な気付きを与えてくれるはずです。
(那須映里さん)
「今、サイレントをきっかけに、手話を学びたい人や、”ろう者”に興味を持っている人が非常に増えている。ドラマが終わってその波が終わってしまうのではなく、それをさらに盛り上げていくために企画を作ったり、”ろうの役者”が出るという流れを高めていきたいと思っている」
(江副悟史さん)
「”ろう者”としてでなく、江副として見て欲しい。私も聞こえる人だからということではなく、相手を個人として見るので、お互い目を見てちゃんと話したい」
お互いに理解することで社会のバリアが取り除かれること期待します。