2023.02.07
情報から誰一人取り残されない社会の実現を…「手話が語る福祉のコーナー」30年【岡山・香川】
手話が語る福祉のコーナーです。岡山放送で手話放送が始まって2023年2月、30年の節目を迎えました。社会の障壁を無くそうと始まった取り組みは放送以外にも広がりを見せています。
国内最高峰のモーターレース「スーパーフォーミュラ」。2022年12月に東京で開かれた記者会見では、SDGsへの取り組みとしてあるプランが示されました。
(日本レースプロモーション 上野禎久社長)
「聴覚障害者のみなさんにレースを楽しんでもらえるように、岡山放送がスーパー耐久で取り組んでいる手話放送などで楽しんでもらう。環境問題への対応だけでない社会貢献をしっかりしたいと考えています」
(手話実況)
「(実況・解説音声)メインストレートからブレーキングして第1コーナー。今、右に曲がっています」
画面右隅に表示されている手話による実況。一般社団法人トヨタ・モビリティ基金の助成を受け岡山放送が2022年、国内のモータースポーツで初めて行ったものです。根底にあるのは手話放送30年のノウハウです。
(トヨタ自動車 豊田章男社長)
「(手話は分からないが)手の動きを見ていたら意味が分かりおもしろかった。健常者にとっては身振り手振りと表情で非常に情報が伝わった」
(佐藤美恵子さん)
「手話実況はすごいと思います。30年前では想像ができないくらいとてもすごい。完璧です」
熱心にレースを観戦するのは聴覚に障害がある岡山市の佐藤美恵子さん。30年前に聴覚障害者団体の役員として、地元の放送局に要望活動を行いました。
(佐藤美恵子さん)
「以前は手話を付けて欲しいというお願いをしても経済的な理由で断られていたが、今は手話がついてとてもうれしい。皆さんに手話が必要という理解が深まったり広がって本当に良かった」
(1回目の手話放送)
「朝の配達を前に山本さんのお宅では、豆腐作りに追われています」
要望など受け、岡山放送では1993年2月から夕方のニュースの中で手話放送を始めました。毎月1回、特集コーナーの「手話が語る福祉」を291回放送しています。
(篠田吉央キャスター)
「私たちが大切にしてきたのは“手話が語る福祉”というタイトルが示すように、言語としての手話でした」
手話放送の実現を求めてきた人たちの思いに応えたい…。岡山放送では毎月、聴覚障害者とともに会議を開き、放送を待つ聴覚障害者により理解してもらえる手話表現を検討。メンバーの聴覚障害者自身がカメラの前で伝えてきました。
岡山放送では、2021年には画面上の手話通訳にスポンサーをつける新たな試みも始めました。厚生労働省によりますと現在、全国には34万人以上の聴覚障害者がいるとされていて、聴覚障害者と放送局との長年の活動に期待が寄せられています。
(加藤勝信厚生労働相)
「障害がある方が色々な情報にアクセスしていくことや色々な機会に挑戦していくのに実際はバリアがあってできない。そこをどう除外しサポートすることによって健常者と同じように楽しんでいただく。ボランティアベースではなくてビジネスベースの中でこれを展開していくことがまさに持続可能な広がりにつながっていく」
(篠田吉央キャスター)
「こうした中、地域経済と連携して手話放送を進化させようという取り組みが広がっています。それがこちら“シュワQ”です」
QRコードを読み取ると表示されるのは手話、字幕、音声で案内するユニバーサル対応動画“シュワQ”。商業施設の案内や避難ルートの説明などで活用されています。
美作市の産業機械メーカー、英田エンジニアリングでは自動車のアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防ぐ装置や、盗難防止装置といった自社商品の案内にシュワQを導入しようと考えています。
(英田エンジニアリング 万殿貴志社長)
「障害者の方が理解できることイコール健常者の人もみんな理解しやすい。シュワQを使えば思いやりの心を表現できるのでは」
また、備前市の醤油(しょうゆ)製造販売の鷹取醤油はシュワQでの案内に加え自社のテレビCMにも手話を入れることを検討していて、岡山放送が聴覚障害者とともに制作にあたります。
(鷹取醤油 鷹取宏尚社長)
「皆さんお客様ですから障害が有ろうが無かろうが、皆さんに普通に伝わっていけば」
岡山発の情報バリアフリーの取り組みは海外からも注目されています。
(UNCTAD国連貿易開発会議 シャミカ・シリマン局長)
「岡山放送は聴覚障害に向けたテクノロジーを活用した非常に良い取り組みをしている。テレビを見た時に健常者と同じ経験が得られる」
先月、岡山大学で開かれた講演会。UNCTAD国連貿易開発会議の幹部が、持続可能な社会に向けた技術開発の先進事例の1つとして岡山放送の取り組みを紹介したのです。
(UNCTAD国連貿易開発会議 シャミカ・シリマン局長)
「重要なのは全員が同じ社会を生きること。聴覚障害者が取り残されるべきでない。岡山放送の取り組みはそれを実現できる」
私たちはこれからも手話放送を継続し、情報から誰一人取り残されない社会の実現を目指します。
(篠田吉央キャスター)
聴覚障害者と一緒に番組を作ることは私たちに多くのことを教えてくれます。
国内最高峰のモーターレース「スーパーフォーミュラ」。2022年12月に東京で開かれた記者会見では、SDGsへの取り組みとしてあるプランが示されました。
(日本レースプロモーション 上野禎久社長)
「聴覚障害者のみなさんにレースを楽しんでもらえるように、岡山放送がスーパー耐久で取り組んでいる手話放送などで楽しんでもらう。環境問題への対応だけでない社会貢献をしっかりしたいと考えています」
(手話実況)
「(実況・解説音声)メインストレートからブレーキングして第1コーナー。今、右に曲がっています」
画面右隅に表示されている手話による実況。一般社団法人トヨタ・モビリティ基金の助成を受け岡山放送が2022年、国内のモータースポーツで初めて行ったものです。根底にあるのは手話放送30年のノウハウです。
(トヨタ自動車 豊田章男社長)
「(手話は分からないが)手の動きを見ていたら意味が分かりおもしろかった。健常者にとっては身振り手振りと表情で非常に情報が伝わった」
(佐藤美恵子さん)
「手話実況はすごいと思います。30年前では想像ができないくらいとてもすごい。完璧です」
熱心にレースを観戦するのは聴覚に障害がある岡山市の佐藤美恵子さん。30年前に聴覚障害者団体の役員として、地元の放送局に要望活動を行いました。
(佐藤美恵子さん)
「以前は手話を付けて欲しいというお願いをしても経済的な理由で断られていたが、今は手話がついてとてもうれしい。皆さんに手話が必要という理解が深まったり広がって本当に良かった」
(1回目の手話放送)
「朝の配達を前に山本さんのお宅では、豆腐作りに追われています」
要望など受け、岡山放送では1993年2月から夕方のニュースの中で手話放送を始めました。毎月1回、特集コーナーの「手話が語る福祉」を291回放送しています。
(篠田吉央キャスター)
「私たちが大切にしてきたのは“手話が語る福祉”というタイトルが示すように、言語としての手話でした」
手話放送の実現を求めてきた人たちの思いに応えたい…。岡山放送では毎月、聴覚障害者とともに会議を開き、放送を待つ聴覚障害者により理解してもらえる手話表現を検討。メンバーの聴覚障害者自身がカメラの前で伝えてきました。
岡山放送では、2021年には画面上の手話通訳にスポンサーをつける新たな試みも始めました。厚生労働省によりますと現在、全国には34万人以上の聴覚障害者がいるとされていて、聴覚障害者と放送局との長年の活動に期待が寄せられています。
(加藤勝信厚生労働相)
「障害がある方が色々な情報にアクセスしていくことや色々な機会に挑戦していくのに実際はバリアがあってできない。そこをどう除外しサポートすることによって健常者と同じように楽しんでいただく。ボランティアベースではなくてビジネスベースの中でこれを展開していくことがまさに持続可能な広がりにつながっていく」
(篠田吉央キャスター)
「こうした中、地域経済と連携して手話放送を進化させようという取り組みが広がっています。それがこちら“シュワQ”です」
QRコードを読み取ると表示されるのは手話、字幕、音声で案内するユニバーサル対応動画“シュワQ”。商業施設の案内や避難ルートの説明などで活用されています。
美作市の産業機械メーカー、英田エンジニアリングでは自動車のアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防ぐ装置や、盗難防止装置といった自社商品の案内にシュワQを導入しようと考えています。
(英田エンジニアリング 万殿貴志社長)
「障害者の方が理解できることイコール健常者の人もみんな理解しやすい。シュワQを使えば思いやりの心を表現できるのでは」
また、備前市の醤油(しょうゆ)製造販売の鷹取醤油はシュワQでの案内に加え自社のテレビCMにも手話を入れることを検討していて、岡山放送が聴覚障害者とともに制作にあたります。
(鷹取醤油 鷹取宏尚社長)
「皆さんお客様ですから障害が有ろうが無かろうが、皆さんに普通に伝わっていけば」
岡山発の情報バリアフリーの取り組みは海外からも注目されています。
(UNCTAD国連貿易開発会議 シャミカ・シリマン局長)
「岡山放送は聴覚障害に向けたテクノロジーを活用した非常に良い取り組みをしている。テレビを見た時に健常者と同じ経験が得られる」
先月、岡山大学で開かれた講演会。UNCTAD国連貿易開発会議の幹部が、持続可能な社会に向けた技術開発の先進事例の1つとして岡山放送の取り組みを紹介したのです。
(UNCTAD国連貿易開発会議 シャミカ・シリマン局長)
「重要なのは全員が同じ社会を生きること。聴覚障害者が取り残されるべきでない。岡山放送の取り組みはそれを実現できる」
私たちはこれからも手話放送を継続し、情報から誰一人取り残されない社会の実現を目指します。
(篠田吉央キャスター)
聴覚障害者と一緒に番組を作ることは私たちに多くのことを教えてくれます。