2024.02.02
「災害弱者」になり得る聴覚障害者は…能登半島地震などから考える備えは?【手話が語る福祉 岡山・香川】
手話が語る福祉のコーナーです。能登半島地震の発生から1カ月がたちました。災害時に必要な情報や支援が届かない「災害弱者」になり得る聴覚障害者。今回はいざという時への備えを考えます。
元日に発生した能登半島地震、被害は石川県内の広範囲にわたり、特に大きな被害を受けた奥能登地区には障害者手帳を持つ聴覚障害者約270人が住んでいました。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「地域に散らばっていた聞こえない人への情報保障については、正直厳しかった。ろう者は周りの聞こえる人の顔色を見ながら生活するような状況にあった」
そんな聴覚障害者をサポートする手話通訳者も被災しました。
(奥能登広域設置手話通訳者 浜野秀子さん)
「道がすごい状態で、トンネルがふさがっていて動けず、地域の避難所がすぐに開設したのでそこで2週間生活した」
道路は寸断され、支援したくても動けない状況だったといいます。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「今後、近隣自治体からどう協力を得られるようにするのか、ネットワークを構築することが大きな課題と感じる」
こうした状況の中で支援が届かない人が情報から取り残されてしまわないよう、聴覚障害者向けのサービスを提供する宮城県の企業・プラスヴォイスは、地震発生直後から「遠隔手話通訳サービス」を24時間態勢で提供しています。
(プラスヴォイス 三浦宏之社長)
「1.5次避難所に移るためには希望をとるが、それが十分に説明できていないということがあった。今回は役所の人たちに使い方を教えて、ろう者と話をしてもらえるように動いていた。やはり普及していないと利用も少ない。日常的なものにしていかなければいけないと思った」
災害時に障害者や高齢者など支援や配慮が必要な人のための「福祉避難所」。しかし、今回の地震ではその機能を期待していた施設も被災。いわゆる「災害弱者」が安心して避難できるような体制づくりが求められています。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「平時は周りの人の理解を得ながら暮らしていたろう者も、避難所のようなところに行った場合、手話通訳などへの理解をしてもらえないという状況が起きてくるということを改めて感じた。地区に1つ、福祉避難所を作るべきだと。それがカギになってくると今回の地震で改めて考えさせられた」
■川崎医療福祉大学にて
(生本ひなの記者)
「災害に対して私たち自身の備えも大切です。倉敷市の大学生が防災グッズを考案しました」
医療や福祉に関するデザインを専門に学ぶ、岡田朋花さん(21)です。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「「守る」と「ろう(者)」をかけてmamorou(まもろう)。これを肩からかけて避難してもらうというポーチ」
考案したのは「耳がきこえません」と書かれたポーチ。防災グッズ10点セットが入っています。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「これはコミュニケーションカード。こうして提示することで、しゃべれなくても伝わる」
このほか、声で助けが呼べない人のためのホイッスルや、防水加工された筆談用メモなどグッズは聴覚障害者が必要なものに特化しています。デザインのきっかけは耳が聞こえない母親でした。
(川崎医療福祉大学 4年岡田朋花さん)
「母の手助けを幼いころからしているうちに聴覚障害者の人のためになるものを作りたいと思い、災害時にコミュニケーションを取る手段がなく、アナウンスも聞こえず不便なことを聞いたので」
実際にろう者に使ってもらうと・・・
(ろう者 梅岡光恵さん)
「このベルトでろう者と見て分かる。(聞こえる人も)お互い声をかけやすい。若い人からお年寄りまで使えるユニバーサルグッズだと思う」
梅岡さんは2018年の西日本豪雨の時、真備町でボランティアをしていました。
(ろう者 梅岡光恵さん)
「放送が聞こえないときはこれ(メモ)で筆談し、隣の人に聞いてやりとりした。避難所のろう者は周りも被災者の中で「助けて」と言いにくいと思う」
支援が届くまでは、まずは自分自身で、そして周りの人と協力して身を守らなければいけません。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「聴覚障害がある人はこういうことに困っているから助けようということや、聴覚障害がある人もない人も、自分も用意しなきゃと意識を上げる助けになれば」
いつ、どこで発生するか分からない災害。あらゆるシーンを想定した備えを考える必要があります。危険な場所どこか、地域の避難所なども確認しておきましょう。
元日に発生した能登半島地震、被害は石川県内の広範囲にわたり、特に大きな被害を受けた奥能登地区には障害者手帳を持つ聴覚障害者約270人が住んでいました。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「地域に散らばっていた聞こえない人への情報保障については、正直厳しかった。ろう者は周りの聞こえる人の顔色を見ながら生活するような状況にあった」
そんな聴覚障害者をサポートする手話通訳者も被災しました。
(奥能登広域設置手話通訳者 浜野秀子さん)
「道がすごい状態で、トンネルがふさがっていて動けず、地域の避難所がすぐに開設したのでそこで2週間生活した」
道路は寸断され、支援したくても動けない状況だったといいます。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「今後、近隣自治体からどう協力を得られるようにするのか、ネットワークを構築することが大きな課題と感じる」
こうした状況の中で支援が届かない人が情報から取り残されてしまわないよう、聴覚障害者向けのサービスを提供する宮城県の企業・プラスヴォイスは、地震発生直後から「遠隔手話通訳サービス」を24時間態勢で提供しています。
(プラスヴォイス 三浦宏之社長)
「1.5次避難所に移るためには希望をとるが、それが十分に説明できていないということがあった。今回は役所の人たちに使い方を教えて、ろう者と話をしてもらえるように動いていた。やはり普及していないと利用も少ない。日常的なものにしていかなければいけないと思った」
災害時に障害者や高齢者など支援や配慮が必要な人のための「福祉避難所」。しかし、今回の地震ではその機能を期待していた施設も被災。いわゆる「災害弱者」が安心して避難できるような体制づくりが求められています。
(石川県聴覚障害者協会 藤平淳一業務執行理事)
「平時は周りの人の理解を得ながら暮らしていたろう者も、避難所のようなところに行った場合、手話通訳などへの理解をしてもらえないという状況が起きてくるということを改めて感じた。地区に1つ、福祉避難所を作るべきだと。それがカギになってくると今回の地震で改めて考えさせられた」
■川崎医療福祉大学にて
(生本ひなの記者)
「災害に対して私たち自身の備えも大切です。倉敷市の大学生が防災グッズを考案しました」
医療や福祉に関するデザインを専門に学ぶ、岡田朋花さん(21)です。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「「守る」と「ろう(者)」をかけてmamorou(まもろう)。これを肩からかけて避難してもらうというポーチ」
考案したのは「耳がきこえません」と書かれたポーチ。防災グッズ10点セットが入っています。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「これはコミュニケーションカード。こうして提示することで、しゃべれなくても伝わる」
このほか、声で助けが呼べない人のためのホイッスルや、防水加工された筆談用メモなどグッズは聴覚障害者が必要なものに特化しています。デザインのきっかけは耳が聞こえない母親でした。
(川崎医療福祉大学 4年岡田朋花さん)
「母の手助けを幼いころからしているうちに聴覚障害者の人のためになるものを作りたいと思い、災害時にコミュニケーションを取る手段がなく、アナウンスも聞こえず不便なことを聞いたので」
実際にろう者に使ってもらうと・・・
(ろう者 梅岡光恵さん)
「このベルトでろう者と見て分かる。(聞こえる人も)お互い声をかけやすい。若い人からお年寄りまで使えるユニバーサルグッズだと思う」
梅岡さんは2018年の西日本豪雨の時、真備町でボランティアをしていました。
(ろう者 梅岡光恵さん)
「放送が聞こえないときはこれ(メモ)で筆談し、隣の人に聞いてやりとりした。避難所のろう者は周りも被災者の中で「助けて」と言いにくいと思う」
支援が届くまでは、まずは自分自身で、そして周りの人と協力して身を守らなければいけません。
(川崎医療福祉大学4年 岡田朋花さん)
「聴覚障害がある人はこういうことに困っているから助けようということや、聴覚障害がある人もない人も、自分も用意しなきゃと意識を上げる助けになれば」
いつ、どこで発生するか分からない災害。あらゆるシーンを想定した備えを考える必要があります。危険な場所どこか、地域の避難所なども確認しておきましょう。