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岡山放送

2026.10.30

追悼特別番組「革新の轍(わだち)」人間国宝・伊勢崎淳さんからのメッセージ 31日午後5時放送【岡山】

 

2026年7月、備前焼作家で人間国宝の伊勢崎淳さんが亡くなりました。革新的な作品の数々で備前焼の世界に新風を吹き込んだ伊勢崎さんの人生が私たちに残したメッセージとは?

◆伊勢﨑淳さんのユニークで斬新な発想が“土と炎の芸術”と言われる備前焼の「伝統」を育てた

大きなボール状の土の塊に、四角く切った土を貼っていきます。これは・・・何でしょうか。

(伊勢﨑淳さん)
「地球。自然。人間と自然が共生するというのが根本的な考えで、大自然を私が作ればこうなる」

スケールが大きく、ユニークで斬新な発想は伊勢﨑さんの真骨頂です。

伊勢崎淳さん

 

釉薬を使わず高い温度で焼き締めて作る備前焼は800年の伝統を持ち、「土と炎の芸術」と言われています。その「伝統」について伊勢﨑さんは、ある考えをことあるごとに口にしていました。

「革新的なものの連続が伝統を作り上げている」
「伝統が無ければ新しい創造も生まれてこないし、創造が無ければ伝統も育たない」

「伝統」は守るだけでなく、作っていくもの。伊勢﨑さんは伝統的な技法を受け継ぎながら60年以上かけて備前焼の新たな可能性を探り続けました。

伊勢崎淳さん

◆47歳で「網膜剥離」に襲われ…「これからは思い切り自分がやりたいことをやろう」

人生の大きな転換点となったのが、47歳の時に患った網膜剥離です。

「これからは思い切り自分がやりたいことをやろうという気持ちが強くなった」

47歳当時の伊勢崎淳さん

◆2002年、新しい総理官邸に設けられた伊勢﨑さんの作品「陶壁」

伊勢﨑さんの名声を一層高めることになったのが、2002年4月。新しい総理官邸に設けられた、高さ3メートル、幅4.2メートルの「陶壁」です。

(伊勢﨑淳さん)
「長い時代の変化に耐えられる造形。それが一番大事。10年20年で終わるわけではない。50年、もっと長く皆さんの目に触れて、それでも耐えられる造形を意識して作った。備前焼の歴史の中で積み上げられてきた技法や伝統、その成果があのような形であのような場所に作られたということは、備前焼の歴史にとって、新しい出来事かもしれない」

2002年4月、総理官邸に設けられた「陶壁」

◆2004年に「人間国宝」に認定、2025年には「文化功労者」に選ばれた後も創作意欲は衰えなかったが…

伊勢﨑さんは2004年に、重要無形文化財保持者、人間国宝に認定。そして2025年、文化功労者に選ばれました。89歳を迎えてなお、強い創作意欲を示していました。

「新しい作品を制作したい。90歳だからどこまでできるかわかりませんけど、それしか私の道は無いので。何とか行けるところまで行きたい」

しかし、翌年の2026年7月、伊勢﨑さんは帰らぬ人となりました。

伊勢崎淳さん

◆「自分で発見しなさい」伊勢﨑さんの弟子で備前焼作家の隠﨑隆一さんが語る師匠の教え

10月に行われた合同市民葬の参列者の中に、備前焼作家・隠﨑隆一さんの姿がありました。伊勢﨑さんの元で修業した弟子の1人です。

(隠﨑隆一さん)
「作品がどうのこうのより自分の生活スタイル、陶芸とからんだ生き方を教えてもらった。何をしたいのか、しなければいけないのか、自分の中で、自分で発見しなさいという教え」

隠崎隆一さん

◆「伝統は革新の連鎖」備前焼作家の数も増え作品の世界も広がっていく

伊勢﨑さんが備前焼を始めた頃と比べ、作家の数は増え、作品の世界も広がりを見せています。

(備前焼陶友会 伊勢﨑創理事長)
「叔父はずっと、『伝統は革新の連鎖』と言っていた。この伝統的・封建的な産地でも自由な発想でやって良いのだという思いを持った作家が全国から集まって今につながっている」

備前焼陶友会 伊勢崎創理事長

◆独特の焼物、そして、世界へ…伊勢﨑淳さんの作陶人生が私たちに伝えるメッセージ

(伊勢﨑淳さん)
「備前焼の持つ特徴、土の特徴を最高に生かした独特の焼物を目指してほしい。そのためには世界に目を広げないと良いものはできない」

自分の思いに忠実であること、常に挑戦し続けることの大切さ。人間国宝・伊勢崎淳さんの60年を超える作陶人生が私たちに伝えるメッセージです。

OHKでは人間国宝・伊勢﨑淳さんの追悼特別番組「革新の轍」を10月31日午後5時から放送します。ぜひご覧ください。

伊勢崎淳さん